健康・体力づくり施設の効果的な利用方法
とやま健康パーク 泉 一郎
事業推進課係長
健康運動指導士、博士(医学)
スポーツ≠ニ運動≠ヘ、どこが違うのでしょうか。 勝ち負けが関係するものを「スポーツ(競技志向型運動)」といい、勝敗、競争を伴わないものは「運動(健康志向型運動)」と言います。発育発達期にある時期には「スポーツ」を行い、全力を出し切ることが求められます。しかしながら、中高年者に全力を出し切ることを求めると危険が伴うので、最大下の運動強度で運動を行います。とやま健康パークは、健康志向型運動を行う施設です。 1 健康に関わる体力要素 健康に関わる体力要素には@身体組成、A全身持久力、B筋力/筋持久力、C柔軟性の4つがあります。 3つ目の筋持久力という体力要素は、上体起こしという体力テストで評価されます。上体起こしの回数が極端に少ないということは、背筋と屈筋のバランスが悪く腰痛を起こしやすいということで健康に関わる体力要素とされています。柔軟性は長座位体前屈テストで評価され、腰の周りの柔軟性が悪いとお腹周りに脂肪が多く、腰痛を起こしやすいということで健康に関わる体力要素とされています。
「ヒトは血管と共に老いる」と言われます。動脈硬化が進むと心臓病や脳血管障害を起こしやすくなるので、動脈硬化を予防する運動が推奨されています。全身運動、すなわち有酸素運動を行うことによって循環血流量が増え、血管壁に摩擦力(ずり応力)が生じると血管内皮細胞から血管をしなやかにする物質が分泌されることが近年わかってきました。
カタカナで書くウォーキングという言葉は、健康を意識して普段より、やや長く歩く。普段より、やや速く歩く。普段より、やや歩幅を広げて歩くことを意味します。現在の自分の体力を基準とするので、普段よりという言葉が重要です。ちなみに、世間では目的なく歩くと徘徊と呼ばれます。健康スタジアム内にある75mの空間走路はウォーキング強度(目標心拍数)が適切かどうかを知るために利用してください。 血圧、体重と体脂肪率を測り、定期的に肥満度を知ることで適正な体重維持管理につながります。運動時間は有酸素運動30分、筋力トレーニング10分、ストレッチング5分を目安に実践されるとよいでしょう。鏡の前で自らのからだの変化に気づくこと。幅広い年齢層の利用者の中に一緒に入って運動を行うこと。トレーニングカウンタースタッフと会話を交わすこと。すべてが健康・体力づくりに役立つ行動です。 |